猫ってどういうわけか、隅っことか箱の中とか、狭いところが好きな生き物ですよね。うちの猫たちもそれぞれにお気に入りの狭い場所があるようで、個々で1日1回はそこに行ってくつろいでいるようです。
「狭いところが好きな理由があるのではないか?」と思い、獣医に聞いたり本で調べてみたりしました。そこから得た情報を皆さんにもお知らせしたいと思います。
猫が狭いところが好きな理由
猫は狭いところが大好きです。狭くて暗いところを求めて、場所を移動します。ビニール袋や段ボール箱の中、押し入れなどを探して潜り込んでしまうことも多いかと思います。
中で何をしているかはその時々で変わりますが、その狭いところから顔を出し、こちらを見つめる瞬間が愛らしく感じます。猫繋がりの友人達もみな、このしぐさをかわいいと言います。
どうしてこんなことをするのでしょうか。猫が狭いところを好む理由として挙げられるものが3つありました。「そういう理由だったのね」と納得できる理由だと私は思います。
猫の習性
元来の習性として残っているという話を読みました。猫の祖先「リビアヤマネコ」は、もともと砂漠に生息していました。ご承知の通り、砂漠は暑く、それに身を隠せるようなところがありません。
外敵から身を守るために、狭くて暗いところを寝床にしていたのだそうです。そこで体を休めたという話もありました。狭くて暗いところに身を潜めることで体温の維持にも繋がりますからね。
猫はケガをしたり病気になったりすると、狭いところでじっとして体力の回復をさせます。実際にうちの猫が病気にかかったときも、押し入れや室内物置などに隠れて出てこなくなります。
狩猟本能
『狩猟本能が働くから』ということもあるようです。狭くて暗い場所には獲物が潜みます。そして獲物を捉えた後、他の動物たちにとられてしまわないように、狭く暗い場所に運んでいました。
家で飼っている猫だとしても、この狩猟本能が働いているということですね。
今は亡き愛猫(7歳・オス・MIX)の話ですが、他の猫が段ボール箱の中にいるのを知らずに、しっぽだけ見え隠れしていたのを獲物と思ったのでしょう。その段ボールへダイブし、先に入っていた猫に驚いて慌てて出てきたということがありました。
あっという間の出来事でしたが、まさに狩猟本能が働いていたシーンだったと思います。
パーソナルスペースが欲しい
狭いところが好きな飼い猫は、自分の縄張りとなる『パーソナルスペース』を持ちます。人間が持つ『パーソナルスペース』とは違うようですが、猫の場合は1人になりたいときに行く場所というニュアンスのようです。
猫は、狭いところにいることで安心し、心の安定を図っていると言ってもいいでしょう。その場所では、好きな体勢でゆっくり休んでいるのです。人間でいったら、スパや温泉といった感じではないかと思います。
狭いところが好きでも、いつ敵が来るかわからないという本能から、寝ている時でも顔は必ず外に向けているそうです。万が一、敵が来たときにすぐに逃げることができるようにしておいている(安全対策)ようです。猫の防衛術の1つということでしょう。
どんな狭いところにも入り込んでしまう猫たち
いつも「こんなところにいたの!」と飼い猫たちに驚かされてばかりいる私ですが、狭いところが好きだからこそ、個々に合う(気に入る)狭めな入れ物に入ろうとするようです。
- 段ボール箱
- ティッシュ箱
- 靴の箱
- お菓子の空き箱
- 洗面台
- ゴミ箱
- 蚊取り線香の入れ物
- 洗濯かご
- 紙袋
など、さまざまです。ティッシュの箱など、「どうやって入ったの?」とツッコミを入れてしまいたくなりますが、うかつに空箱を置いておくと、本当に入ってしまうので私としては要注意です。(苦笑)
入ったはいいが、出られなくて助けを求めることがあるためです。猫は、鎖骨がないので、自分の体よりも小さなところに器用に入ることができると聞きました。
それに、「自分の体の一部が、何かに密着していると安心する」ということも同時に聞き、なるほどねと思ってしまいました。
「狭いところ好き」な習性をしつけなどに利用する
狭いところが好きな猫の習性は、何かしつけや飼育で役立てることができないかということを考えてみました。最初に考えたのが、キャリーバッグへ入れることです。
毎度のことではありますが、キャリーバッグに入れるのに一苦労します。引っかかれるし、足で踏ん張って入らないしで困っていました。でも、キャリーバッグに黒い布か何かをかけて入りやすくしておいたら、今後嫌がらずに入ってくれるかもしれません。
すでに試したという猫友から聞いたところ、時間がかかったけど入るようになったが、肝心な病院に行くときに入らないということでした。(やはり時間がかかるようです…)
また、実家の母が行っているのは、紙袋を広げて横に倒して置くという簡単なものでした。
何をするのかと思ったら、猫が入ったところでそのまま抱きかかえて、爪切りをするとのこと。下手に暴れないので焦らずにできると言っていました。「でも、毎回引っかかるわけはないでしょ」と聞いたところ、面白いように毎回どの猫も引っかかってくれるから助かるとのことでした。
この方法は試してみる価値はありそうです。習性を利用するのはいいことですが、猫の安全や安心感をしっかり守りながら行うことが必要になることは言うまでもありませんね。
まとめ
猫は本当に狭くて暗いところが好きです。その理由は習性だったり、パーソナルスペースを確保するためだったり、自分をしっかりと外敵(ストレスも含め)から守るためだということがわかりました。
猫の生活には「狭いところ」は欠かすことのできない大事な場所であると確信できたのではないでしょうか。
この習性を利用すれば、飼育する上での健康管理やしつけなどの様々なことに応用することもできるということがわかりましたね。飼い猫の様子を見ながら、何に利用できるかをぜひ発見してみましょう。
私もキャリーバッグや紙袋の案をこれからやってみたいと思います。