猫は鳴き声で飼い主に訴えかけます。今の気持ちや、体調の良し悪し、そして愛情など。鳴き声で意味を判断するためには、鳴き声の高低・長短を聞き分ける必要があります。そうすれば、飼い猫が何を言いたいのかわかるようになり、飼い猫とのライフスタイルがより良いものになることでしょう。
ここで、猫の気持ちを判断するための鳴き声について紹介します。気を付けるべき鳴き声もありますので注意してください。
猫の鳴き声の大別
猫の鳴き声を大きく分けますと、以下の3つになります。
- 「ゴロゴロ」とノドを鳴らす
- 「ニャーン」と鳴く
- 「シャー」などのうなり声
ノドを鳴らす
ノドを鳴らすのは、母猫と子猫のコミュニケーションのために使われています。そこから成長するにあたって母猫だけでなく、飼い主や他の動物に対して親愛・満足・安心などの表現としての意味があります。
猫によっては、大きく鳴らしたり小さかったりとさまざまあるようです。ノドの鳴らし方が小さいからと言って愛情を表現していないわけではありません。
飼い主に「大好き!」という気持ちを出してくれているときに使われます。例えば撫でられて気持ちがいい時や一緒にいて安心できる時もゴロゴロと喉を鳴らします。元々が親子でのコミュニケーション手段として使っているものですから、猫から信頼できる家族の一員として認めてもらえている証拠とも言えますね。
うちにいる猫は、私のお腹の上に寝ながら喉をゴロゴロ鳴らしていることがあります。「本当に安心して一緒にいてくれているのだな」と伝わってきます。猫が飼い主に対して、安心や信頼などの好意的な気持ちを持っている時に見せるしぐさです。
また最近の研究ではストレスを感じている時にも出すことがわかってきました。ストレスを緩和して安心したい気持ちから出てくるのかもしれませんね。
ゴロゴロ鳴きだしたときに、明らかにリラックスしたり甘えたりしているような状況じゃなかったら、もしかしたら何かにストレスを感じているのかもしれません。そんな時は怪我をしていないかも含めて、猫の周りを確認してあげて下さい。
声を出して鳴く
猫同士(成猫)では声を出しても短めに鳴く程度と言われています(私は多頭飼いをしていますが、ケンカのうなり声以外を使っているのを聞いたことがありません)。人に対して、声を出して鳴くのは、人を母猫のように思っているからだそうです。
猫が声を出して相手に呼びかけるというのは、何かを要求している意味合いがあったり、あいさつをしていたりといった友好的な気持ちを伝えるが多いです。このような時の鳴き声は、声のトーンが高くなっていると思います。それが特徴的です。
時にかすれたような「ニャー」という小さい声を耳にすることがあります。これは俗に『サイレントニャー』と呼ばれる鳴き方です。子猫に多く、甘えている鳴き方だと言われています。
猫の鳴き声にも特徴があります。その猫によって機嫌の見極め方が異なることがありますので、一概には言えません。でも、声の高低で判断することができます。
- 高い声:要求・甘え・危険信号など
- 低い声:威嚇・警戒・不安など
また、声の大きさによっても変わってきます。大きいほど強い感情であることが多いです。エサが欲しい時は、大きくて高い声で鳴きますね。他の猫が近づいてきたりして、自分のテリトリーを犯されそうになると、大きくて低い声で鳴きます。こんな感じで鳴き声でも機嫌の見極め方ができます。
うなり声
猫の鳴き声で一番感情がむき出しになっていると感じる声ですね。これは威嚇を受けているなど言わなくても意味がわかるものがほとんどです。
多くの場合、攻撃・防御・威嚇でしょう。ストレスを感じてうなり声を出すこともあるようです。去勢・避妊手術前の猫は、求愛する時にもこのようなうなり声をあげます。
猫の鳴き声の意味は?
猫は生後12週くらいまでの間に、16種類程度ある鳴き方をマスターして使い分けるようになります。その基本が高低と長短です。高い鳴き声は、要求・訴えなどをしていることが多く、低い鳴き声は、抗議・怒りなどの意味合いがあります。
声の高低と長短を組み合わせて、さまざまな意志を伝えています。ここで、鳴き声の翻訳(一例)をみてみましょう。
「ニャー、ニャオ、ニャーン」
何かを要求している鳴き方です。「お腹がすいた」「早くして」など。短く鳴く場合は切実で早急であることが多いです。声が高めで「ニャーン」が長い場合は、アピールしている鳴き方です。「こっち見て」「遊んで」「ご飯」「トイレをきれいにして」「外へ出たい」などの要求ですね。
エサの方へ来させようと先頭を歩いたり、振り返りながら鳴いたりします。他にはトイレ近くで鳴き続けることもありますね。このように仕草が伴いますので、理解しやすいと思います。
私の猫はお腹がすくとこのような鳴き方をしてアピールしまくっています。実家の猫は父が仕事から帰ってくると、この鳴き方をしてエサ皿のところに誘導します。父もついついあげてしまうので、ちょっと肥満気味なのが困ったところです。
また、撫でているときに強く長く鳴くことがあります。この場合は、「撫ですぎ!」と不機嫌になっていると考えられます。というのは、噛もうとしたり引っ掻こうとしたりしますので…。撫でてほしいときに鳴いて要求する割には、本人が満足しきったら「もういいから!」と怒ってくる感じです。気まぐれな猫の性格がここに出ていますね。
飼い主としても撫でている時は癒しの時間ですので、ついつい撫で続けることもあるかと思います。でも嫌がっている声だと感じたらストップしましょう。威嚇ほどではないにしても不機嫌なニュアンスが感じ取れますので、聞き分けることはできると思います。
「ミャ~オ~」(最初は高くて段々低くなる)
威嚇をしています。「こっちに来るな!」「やるのか~」などの意味合いが強いです。むやみに手を出すと、引っかかれたりします。
低い声は基本的に威嚇とか不安といったニュアンスを持ちます。飼い主が気付いていないレベルでも、猫にとっては何か攻撃されるかもしれないといった不安があるのだと思います。
以前猫友さんの家に遊びに行ったときに、そこの猫にこれをされたことがあります。私と会うのが初めてだったこともあると思いますし、私に我が家の猫のにおいが付いていたことも原因だと思います。
その時はキャットタワーの上の方に逃げて、このような声を出していました。仲良くしたかったんですが、刺激して怪我につながったら嫌でしたので、その時は撫でるのも諦めました。
「アォーン」(鳴き声が高め)
注意を引きたいときの鳴き方ですが、発情期の猫も同じような鳴き方をします。大きくて低い声で、長く鳴きます。特徴的ですので「発情期が来たな」とすぐにわかります。猫によっては遠吠えかと思うくらい長く鳴くことがありますので、賃貸物件にお住まいの方はご近所から苦情が来ることがあるかもしれません。私も受けたことがあります。
昼夜関係なく鳴きますので、飼い主さんが寝不足になってしまうこともあります。早めに去勢・避妊手術をすることをおすすめします。
「ギニャー」(叫ぶような鳴き声)
痛みや恐怖などを感じた時にこのような鳴き方をします。猫にとっての非常事態の鳴き方です。猫は驚いても毛が逆立つ程度で、声を出して鳴いたりしません。それなのに、大きな声で鳴き叫ぶような声を出すということは、よほどのことがあったときだと判断してください。
うちの子はケージにしっぽが挟まったときに「ンギャー!」と大きな声で鳴きました。子猫が側を走り去ったときにケージの扉が勢いよく閉まったようです。慌てて行ってみたら、しっぽが挟まっていました。
猫は多少の痛みでは鳴きませんので、このような声を上げたときは、よほどのことが起きたと判断してすぐに助けにいってあげてくださいね。パニック状態になっていたり、ケガをしていたりする可能性があります。
「ゴロゴロ」(ノドを鳴らして)
安心・甘えを表します。飼い主に対して「好き~」や「安心できるね」というような意味合いがあります。また上でも書きましたが、甘えなど以外にもノドを鳴らすことが最近の研究でわかってきました。強いストレスが合った場合や緊張状態にある場面でもノドを鳴らすというのです。
元々、「ゴロゴロ」とノドを鳴らす音は、自己防衛機能の働きで鳴らしているものだと言われています。「ゴロゴロ」とノドを鳴らしているときの様子をよく見てあげてください。甘えたような表情ではない場合は、ストレスによってのものかもしれません。
「ンー」(口を閉じて声を出す)
口を閉じた状態で「ンー」と声を出すことがあります。威嚇のような強い攻撃的な声の出し方ではありませんので聞き分けは簡単にできると思います。
仲のいい猫同士の場合には「ニャー」と声を出すことよりも、この「ンー」で会話をすることがほとんどです。「ンー」は猫にとって信頼の証。ですので、飼い主に対して使われれば、それは警戒心を持っていない、信頼しているという証拠と言えます。
この声を出したときは、もっと甘えたい、かまってもらいたいという気持ちです。実際、「ゴロゴロ」と併せて使われることが多いです。それ以外にはおやつなどをおねだりする時にも使います。
親密な相手、もしくはもっと親密になりたい相手に使う鳴き声でもあります。名前を呼んだ時に「ンー」で返されれば、その人のことが好きだということ。鳴きながら近づいてきたなら、構って欲しいという以外に「仲良くなりたいアピール」という側面もあります。特に短く鳴いた場合は、その気持ちが強いと言われています。
「ニャ、ニャッ」(短い鳴き声)
成猫を撫でてあげたときや、朝起きた時など短く「ニャ」「ニャッ」と鳴くことがありますが、好意的な鳴き方だと思っていいと思います。撫でた時や名前を呼んだ時にすることもありますので、「ありがとう」や「おはよう」などのあいさつみたいな感じでしょうか。
猫同士でもこのような声の掛け合いがあるようです。事実、私が飼っている猫と外で暮らしている猫がガラス越しに短い声で鳴いているのを見かけたことがあります。テリトリーをパトロール中の外猫さんが、うちの猫に「今日も元気かい」なんて声をかけて、うちの子が「おかげさまで」なんていう風に返しているのでしょうか。威嚇し合うのではないかと思っていたので、これは意外な反応でした。
また実際に、威嚇ほどではなくても不快感を表すためにも短く鳴くことがあります。その場合は鳴き方が強くなります。その他、虫や鳥など興味のあるものに対して反応している時もあります。
「ニャンッ ニャンッ」(弾むような鳴き声)
嬉しい気持ちの時や、やってほしいことをしてもらえた時にこのような鳴き方をします。人間でいうところの鼻歌を歌っている感じかと思います。
食べたかったご飯を出してもらえた時とか、お気に入りのおもちゃで遊んでいる時などにこれが聞けることがあります。
「ニャー」(かすれた鳴き声)
子猫に多いと思うのですが、口を開けて鳴いている様子なのに「ニャー」の声がかすれたような感じだったり、声がほとんど出ていなかったりすることがあります。これは甘えている時に出る『サイレントニャー』と呼ばれる鳴き方です。サイレントとは言っても、人間には聞き取れないだけで猫同士の場合は聞こえていると言われています。
子猫の時から飼っている場合、成猫になってもこのような鳴き方をして甘えてくる子がいます。飼い猫で1匹だけを飼っている場合に見られるようです。多頭飼いの場合は、他の猫が教えているのかもしれません。
母親に甘えるときの鳴き声ですから、これが見られたら飼い主さんに甘えたいんだと思ってください。
その一方で、連続してサイレントニャーをするときは「疲れた」「もう眠い」という場合があります。もし連発しているところを見かけたら、猫のペースに任せてそっとしておいてあげた方がいいと思います。
「ウー、シャー」(うなり声)
威嚇しています。機嫌が悪かったり相手を寄せ付けないようにしたいときに発します。「来るな!」「なんだよ」などの意味でしょうか。実家の猫の1匹にこの声を聞かされます。猫は縄張り意識が強い生き物なので、どうやら「よそ者が来た」と思われているようです。猫パンチを今にも繰り出すぞ、という勢いで鳴かれます。
シャーだけならまだ威嚇で済んでいるのですが、ウーと低くうなる声が出てくると臨戦態勢になっています。こうなると本当に猫パンチが出てきますし場合によっては噛みついてくることも。こうなったときには下手に刺激をするのはよくありません。猫の機嫌がおさまるまでそっとしておきましょう。
「ケケケ、カカカ」(短く歯を打ち鳴らすような音)
短めな「ケケケ」や「カカカ」などといった独特の音を鳴らすことがあります。著者も最初は何か別な物の音かと思っていました。しかし、愛猫が体勢を低くしてお尻を高くしてネズミのおもちゃを狙う時に、この声を猫が発していると気づいたのです。
狩りをする時に短い独特な(鳴き声とは別物)声を発するようです。『クラッキング』と呼ばれる音で、歯を打ち鳴らしているような鳴き声です。獲物を見つけたときなど興奮している時に鳴きます。本能から出てくる音のようです。
時には、窓の外にいる鳥などを捕りたいのに獲れないなどのような悔しいときにもならすようですよ。
「フルルル、クルル」(ノドを鳴らしているような鳴き声)
何かを探しているときの鳴き声です。子猫などはおもちゃを探したり飼い主を探したりするときにこのような鳴き方をします。成猫になると、目の前の獲物などに集中している場合に出すようです。
また鳴き方によってさまざまな意味があります。甘えたいときにこの声を出す猫もいます。ただし、無口な猫もいますので、こういった鳴き方をしない場合もあります。
発情期が来たときの鳴き声
病気やタイミングが合わなかったなどの理由で、去勢・避妊手術ができなかったときに発情期が来てしまうことがあります(私も経験あり)。発情期が来てしまうと、本当に大きな声で鳴きます。特徴としては、お腹の底から出ているような「ナーオー」や「アォーン」という感じの声を出します。
結構な頻度で何度も鳴きますし、昼夜関係なく鳴きます。特に猫は夜行性ですので、夜になれば活発に鳴きだします。オスとメスでは、少し鳴き声が違うようですので、違いをみていきましょう。
オスの鳴き方
オスは落ち着きなく動き回り、低く「オァーン」や「アォーン」のような鳴き声を出します。かなり大きな声で低音なので、遠くまで響きます。もちろん部屋の中で鳴いても外へも聞こえます。
近所の野良猫が鳴いているときは、人間の赤ちゃんが泣いているのかと思い、外へ出てみたことがあります。外を見回すと、塀の上で鳴く猫と目が合ったなんてこともありました。
この時期は止めさせようとしてもやめません。攻撃的にもなっています。ケージなどに閉じ込めると余計に鳴きますので大変です。
メスの鳴き方
メスも頻繁に鳴きます。動き回って「ナーオー」や「ニャーオー」と低めに鳴きます。しかも飼い主さんの足元にスリスリと頭をこすりつけて鳴くこともあります。とてもかわいい姿ではありますが、普通の鳴き方と声の大きさも違いますし、声のトーンも低く、普段と違うのですぐにわかると思います。
オス猫を呼んでいるような感じに聞こえていましたね。求愛の声といいますか、求めているような鳴き方をします。オスと同じく人間の赤ちゃんのような声に聞こえます。
子猫が鳴くのは「お腹空いてる」だけとは限らない
子猫は一般的によく鳴くと思います。小さい声の時もあれば、かすれたような「ニャ」だったり、人の後ろをついて歩いて訴えるような鳴き方をしたりします。
著者も初めて子猫を飼ったときは、「お腹が空いているのかな」と思ったくらいです。でも、何匹か飼ってみて思ったのは、空腹だけじゃないということ。甘えも寂しいも、「お腹すいた」や「おかえり」など、さまざまな感情を声に出して表現しているようです。
子猫は、親猫と離れて感じる寂しさなどを飼い主さんに依存することで解消しているようです。そのため、飼い主さんに甘えたい・遊んで欲しいなどを訴えて鳴くのです。子猫の時は、鳴き声と仕草を照らし合わせやすい時期なのかもしれません。鳴き声と仕草を合わせて様子を察知してあげて欲しいと思います。成猫になるってくるとあまり鳴かなくなりますので…。
こんなときの鳴き声には気をつけましょう
上で紹介した通り「ギニャー」や「ンギャー!」などのように叫ぶような大きな声で鳴いて自分の身に何かあった鳴き方をすることもあります。それ以外にもいつも鳴かない子が鳴いている場合や、鳴き方が違う場合など普段と違う鳴き方や鳴き方と行動が一致していないような場合は、何らかの異常を知らせていることがあります。
うちの子が尿路結石になったとき、「ウミャー、ウミャー」のような表現しにくい鳴き方をしながらお腹や尿道を舐めていました。最初はわからなかったのですが、今思えばその時から調子が悪かったようです。
それ以外にも、次のような場合は注意しましょう。
- 発情期でない時期に鳴き止まない
- 鳴き声が変にかすれている
- 部屋を歩き回りながら「アオーンアオーン」と鳴く
- 排尿時に変な声を上げる
- 何もない状況でうなり声を出す
などです。こういった鳴き方をするようでしたら、鳴き声以外の様子もしっかり確認してください。食欲が落ちたとか、普段より走り回らなくなったとか、排泄の様子がおかしいなど、普段と違うと感じたら、獣医さんに診てもらうようにしましょう。ケガや病気など何らかの異常が隠れている可能性も否定できないからです。
いつの間にか肉球を怪我していたうちの猫は、歩くたびに悲痛な感じで「ニャァ、ニャァ」と鳴いていたので、すぐに異変に気付くことができて病院に連れて行くことができました。また猫友の長老さん(当時20歳:メス)の認知症が始まった時は、鳴きっぱなしだったという話です。
まとめ
以上のように、猫の鳴き声には様々な意味があります。これを体で示すボディランゲージと組み合わせることで、飼い猫の言いたいことや訴えがわかってくると思います。まずは、大きく分けた3つの鳴き方を覚え、そこから鳴き声の判別をしてみましょう。
あとは、共に生活をしていく上でわかってくるはずです。猫によっては鳴き方に特徴があったりして、ご紹介したものとは違って聞こえることがあるかもしれません。そんな時は、ボディランゲージも見ながら判断していきましょう。
猫の言葉の意味がわかるようになれば、可愛さも増してきます!
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