エキゾチックショートヘアは、テレビドラマやCMなどでも大人気となっている猫です。最近の飼いたい猫の種類人気ランキングでは第6位にランクインしました。あの丸くて大きな目や潰れた鼻が、なんとも憎めない愛らしい表情を醸し出しています。
そして、なんといってもそのつぶれた鼻ぺちゃな顔がブサカワ猫の代表格と言ってもいいでしょう。犬でいうブルドッグやパグなどの猫バージョンと言ったところでしょうか。
今回は、そんな愛嬌たっぷりのエキゾチックショートヘアについて、その性格や飼い方のコツなどを詳しく紹介したいと思います。
エキゾチックショートヘアの特徴
エキゾチックショートヘアは、ペルシャとバーミーズを交配させたことで誕生した猫です。ペルシャの短毛版のような感じに捉えてもいいでしょう。エキゾチックショートヘアの主な特徴は2つです。
中型の猫ですので、体つきはどっしりとしています。太っているのではなく、筋肉質な体つきです。体の割りに、脚やしっぽが短くて太めです。毛色も模様パターンもかなりの種類があります。人気の色は少し高めな価格で取引されているようです。
エキゾチックショートヘアは名前の通り短毛種ですが、ショートヘアが付かない「エキゾチック」という長毛種もいます。ただし、ペルシャの血が入っているため、短毛種と言っても少し長めになっています。手触りは柔らかでなめらかです。
そして、鳴き声にも特徴があることを知っていますか?大きな声で鳴くことがない猫種ですが、「んにゃあ」と声色が高めな、かわいい鳴き声を発してくれます。
猫の鳴き声は「に」から始まることが多いのですが、エキゾチックショートヘアは、「ん」から始まるので、ワンクッションあるような鳴き方に感じるようです。
それに、体型から判断すると、太めな声を想像してしまいがちですよね。それが、良い意味で期待を裏切ったような声で鳴くため、ギャップをより一層感じるのだと思います。
エキゾチックショートヘアの毛色
エキゾチックショートヘアは、ペルシャ猫で公認されているすべての色合いが出ます。模様も同様です。
- ホワイト
- クリーム
- ブルー(グレー)
- レッド系
などです。単色以外にもバイアスカラーや三色の毛色を持つ三毛もいます。
被毛はダブルコートになっていて、ふかふかな感触です。短毛種ではありますが、他の子よりも少し長めだと思っておいた方がいいでしょう。毛が寝てしまうほど長くなく、短毛種ならではの立毛になっていますので、ブラッシングがしやすいと思います。
エキゾチックショートヘアの性格
エキゾチックショートヘアの性格は人懐っこくおっとりしていて温厚です。愛情深くてとても大人しいと言えます。これは、ペルシャ猫の気質を受け継いだものだと言われています。
おっとりな性格のエキゾチックショートヘアの特に良いところは、「おっとりだけど神経質ではない」ところです。
他の猫種だと、おっとりして物静かな性格でも神経質さを持ち合わせている子もいます。しかし、エキゾチックショートヘアは、神経質なところがあまりありません。新しい環境や子どもがいて賑やかな家庭でも、気に障ることなく慣れてくれます。多頭飼いや別なペットとの同居もできるでしょう。
短毛種は、好奇心の旺盛な性格を持つことが多いです。エキゾチックショートヘアも例外ではないようです。新しいおもちゃや飼い主さんが買ってきた品物などに興味を示して、袋の中をのぞいてしまうといった行動があるかもしれません。
遊ぶことは好きですが、活発さが低いので、運動量が少なく、新しいおもちゃを追いかけ回すようなことはあまりしませんが、座ったまま前足で接触しながら遊べるようなおもちゃだと興味津々になるようです。
甘え上手なので自然と人に寄り添ってきますし、スキンシップを取りたがります。また、猫には珍しく抱っこを好みます。体がどっしりしている分、抱かれても座りがいいのでしょう。
ただ、孤独が苦手です。寂しがり屋ですので、長時間の留守番で孤独を感じてしまうこともあります。単頭飼いのような場合、寂しい状況が長く続くとストレスが溜まってしまうことがありますので、注意しましょう。帰宅したら思いっきりコミュニケーションを取ってあげるようにしてください。
オスとメスでは少しですが、性格の違いが見られるようです。
- オス:甘えたがりなのでかなりの頻度で寄ってくる
- メス:大人しい子が多く控えめ、感情表現が薄い
飼い主さんが求めるペットパートナーを選ぶ際の参考になるかと思います。
エキゾチックショートヘアの飼い方ポイント
特徴でもお話ししましたが、見ての通り、エキゾチックショートヘアは鼻が低いです。そのため、涙管と鼻が詰まってしまうことがあります。目や鼻の病気にならないよう、清潔にしてあげることや病気になっていないかチェックしてあげる必要があります。
また、鼻が低いので、食器や水皿を使いやすいものにしましょう。深すぎる水皿だと、水を飲む時に鼻に入ってしまうことがあります。浅めの皿を用意し、水を頻繁に入れてあげるなどの工夫が大切です。
おっとりな性格なので好んで運動をしません。その割に筋肉質なので食事はたくさん食べます。体重が増えすぎないように運動を取り入れることや、1回の量を少なくして回数を多く食べさせるなどの工夫が必要です。
食べて寝てを繰り返していると肥満の心配がありますので、スキンシップと遊びを組み入れて体を動かすように飼い主から仕掛けましょう。肥満になると、病気を発症するリスクが高くなってしまうので注意が必要です。
短毛と言ってもやはり長めですから毎日のブラッシングは必要です。
湿度管理のこと
完全室内飼いが基本となります。暑さ寒さ対策ができるようにすることも大切ですが、猫は自分で心地良いところに移動して体温調節をすることができますので、過剰に準備する必要はないでしょう。
自分で居場所を探せるように、部屋の扉を開けておいたり、こたつの入り口となるようこたつ布団をあけたりしておくくらいで大丈夫です。
湿度には注意を向けましょう。適温なのにしきりにグルーミングを行っているような場合は乾燥していることが考えられます。舐めることで、毛だけでなく皮膚の乾燥も防いでいるのです。加湿器を置いたり濡らしたタオルを干したりして、湿度を上げるようにしましょう。
食事管理
エキゾチック・ショートヘアは、太りやすい傾向にあります。ですから食事の管理は大切です。成長期には高タンパク質のフードを与えても大丈夫ですが、それ以降は良質なタンパク質で低カロリー、尚且つバランスの整ったフードを選んで与えます。
エキゾチックショートヘアは、食べるスピードがゆっくりですので、少し食べて満腹になってしまうことがあるようです。1日の必要量を数回に分けて与えるようにするといいでしょう。
それでも残して後で食べるようであれば、残した分はいったん片付けるようにします。いつでも食べられるようにしてしまえば、いくら低カロリーだとしても、常にカロリーを摂取してしまう状態と同じだからです。
そうならないように、量を調節して与えるようにしましょう。家を空ける時間が多い飼い主さんは、自動給餌器を利用するなどの方法をとってもいいかもしれません。
掃除
どの猫もきれい好きなので、トイレなどの掃除はマストです。しかし、エキゾチックショートヘアはつぶれたような鼻と骨格のつくりのせいで、他の猫よりも目や鼻が弱いです。そのため、掃除のために使う洗剤や消臭スプレーなどの使い過ぎには注意しましょう。
涙や鼻水が出るような場合は、後ほど紹介する『鼻涙管狭窄』などの病気の原因となってしまう可能性もあります。猫が近くにいるようなときはなるべく使わず、使った場合は落ち着いてから部屋に入れるなど工夫した方がいいでしょう。
しつけ方
大人しい性格なのでしつけはしやすいと思います。賢いため、トイレや爪とぎなどのしつけは1~2回程度教えるだけでできるようになると言われています。問題行動を起こすようなこともほとんどないかもしれません。
もし、失敗をしたら叩くようなことはせず、「コラ!」などの短めの言葉を大きな声で発しましょう。鼻にデコピンをする方法もありますが、鼻が低いのであまりおすすめはできません。
また、恐がりなところもありますので、自宅に慣れるまでトイレや食事、寝る場所は近い方がいいでしょう。慣れてきたら、自分で動き回れますのでそれぞれの場所を離しても大丈夫です。
エキゾチックショートヘアがかかりやすい病気
たびたび繰り返しになりますが、エキゾチックショートヘアは鼻ぺちゃが特徴です。その骨格の造りから目や鼻にかかりやすい病気があります。それ以外に遺伝によってかかる病気もありますので合わせて紹介したいと思います。
また、エキゾチックショートヘアの中でも、ホワイトは遺伝性難聴が起こりやすいと言われていますので、購入する際にチェックしたり、早い段階で獣医に診てもらったりしましょう。
鼻涙管狭窄
涙の出口となっている鼻涙管が狭くなって涙が溢れ続けてしまうことがあります。そのせいで、目の周辺がただれたり荒れてしまったりして炎症が起きてしまう病気です。猫自身も気になるせいか、前足で擦ってしまいます。そうすると悪化してしまいますので、注意が必要です。
症状
- 前足で擦る
- 涙
- 目やに(色がついたものが出ることも)
などが見られます。頻繁に涙が出る場合や、黄色っぽい目やにが出るような場合は早めに受診をしましょう。緑っぽい目やにが出るようになったら要注意です。炎症がひどくなってきています。
白内障
この病気は、目の水晶体という部分が白く濁ってしまい、視力低下を引き起こしてしまう病気です。エキゾチックショートヘアは、先天的にこの病気になりやすいとされています。ただし、ケガや子猫期の栄養不足などが原因で発症することもあります。
症状
- 壁や柱などによくぶつかる
- 目の奥が白っぽく見える
- 光をまぶしがる
- 暗闇にいることが増える
などです。今までより物にぶつかるようなことが多くなりましたら受診して診てもらいましょう。

多発性のう胞腎
多発性嚢胞腎は、腎臓に水が溜まった「のう胞」と呼ばれる袋がたくさんできて、腎機能が低下してしまう病気です。悪化すると腎不全を引き起こしてしまいます。この病気は遺伝性で、親猫がこの病気にかかっている場合、50%の確率で遺伝し発症してしまうと言われている病気です。高齢期に発症しやすいと言われています。
初期症状がほとんど見られないので、のう胞が複数できてからの発見が多いようです。
症状
- 食欲がなくなる
- お腹が張っている
- 回数の多い嘔吐
- 多飲多尿
などが見られます。今は遺伝子検査で調べることができますから、獣医さんと相談をして、早い時期に調べてみるという方法を取ることをおすすめします。

肥大性心筋症
肥大性心筋症も遺伝性の病気です。心臓の筋肉が肥大して異常が出てきます。高齢期に入ったあたりから発症することが多いようで、オスに多くみられます。
症状
- じっとしていることが多くなった
- 息苦しそうにする
- 呼吸が荒い
- 後ろ足を痛がるような素振りをみせる
などです。健康診断を定期的に受け、早期発見・早期治療が長く生きるための秘訣です。症状が見られたらすぐに動物病院へ受診してください。
値段&入手先
エキゾチックショートヘアは、ペットショップかブリーダーさんから購入します。生後間もない子猫が一番高く、成長するにつれて価格が下がっていきます。
- 体に対して足やしっぽが短めで、骨太の筋肉質な子猫
- 鼻が小さくて低めな子猫
以上の基準で価格に差が出てきます。
ペットショップ
ペットショップでの価格は、10~30万円とひらきがあります。
気に入った模様パターンや、体格などが関係しているのでしょう。購入する場合は、鼻水が垂れたりしていないか、毛がパサついていないかなどを見ましょう。後は好みで選んでも大丈夫です。
ブリーダー
ブリーダー販売の価格は、11~33万円程度です。
体格や模様パターンなどで大きく変わってきます。血統の良い猫だと、50万円くらいする子もいます。ブリーダーさんの所では健康管理などをしっかりしていますし、エキゾチックショートヘアの知識が豊富なので、不安に思う点は見学時に質問するようにしましょう。
まとめ
エキゾチックショートヘアは鼻ペチャで愛嬌がある人気の猫ですが、それなりのお手入れ(ブラッシングなど)が必要であったり、かかりやすい病気に気をつけたりしなくてはいけません。
でも、温厚で賢くてしつけもしやすいですし、猫の中で唯一抱っこを好む種類でもあります。思いっきりかわいがりたいと思っている人にはおすすめの猫ちゃんです。