子猫は生まれてすぐから4~5週間目まではミルクだけを与えて育てます。母猫が母乳を与えている場合は問題ないでしょうが、そうでない場合はほ乳瓶を使って『猫用ミルク』を与えます。
離乳食は生後4~5週間を過ぎた頃から与え始めます。拾ってきた子猫の場合は、週数などがわかりませんよね。その場合は、動物病院で獣医から聞きましょう。
子猫から育てている場合にしても、ミルクだけでは栄養が足りない状態になってきます。ですから、ミルク+離乳食と考えましょう。完全な離乳食を与える期間は生後2カ月くらいまでです。それまでの間に離乳食の形状を変えながら与えていくことになります。
この記事では、子猫のミルクから離乳食に移行するまでをまとめました。用意するものや与え方を参考にしてみて下さい。
子猫(赤ちゃん猫)のミルク
飼育初心者の方が生まれたばかりの赤ちゃん猫から育てることはほとんどないかと思います。きちんと授乳期間が終えた生後2~3ヶ月の子をもらって飼い出すということが多いでしょう。
しかし、母猫の育児放棄などで授乳が必要な子猫を保護することもあります。私も経験があります。
また、成猫であっても時と場合によってはミルクが必要なこともあります。そんな時のために、『猫用ミルク』と用意するべきもの、与え方、そして離乳食に移行するまでの知識を備えておきましょう。
人用の牛乳を与えてはいけない
まず、ミルクというと「牛乳」を思い浮かべる人もいるかと思いますが、猫に人用の牛乳を与えてはいけません。
猫にとっては人が飲む牛乳は栄養価が高過ぎることもあり、また「乳糖」も含まれているため、お腹を壊してしまいます。「じゃあ人用の乳糖が含まれていない牛乳なら良いのか」ということではありません。
猫の体内では牛乳を上手く分解して吸収することができないため、すぐに下痢となり、結果的に体に負担をかけるだけとなります。
それなので、必ず『猫用ミルク』を与えて下さい。また、後ほど詳しく紹介しますが、年齢に合わせたいくつかの種類がありますので、この点も注意しておきましょう。
子猫にミルクを与える時に必要なもの
子猫にミルクを与える時に必要なものは次の通りです。
- 子猫用ミルク(粉末タイプ・液状タイプ)
- 猫用の哺乳器(哺乳瓶)
- 注入器(スポイト)
- ガーゼのハンカチ・ペット用ウェットティッシュ
これらはネット通販やペットショップで購入することができますので、あらかじめ用意しておきましょう。
では、ひとつずつ詳しく紹介していきますね。
ミルクは2種類ある(粉末タイプ・液状タイプ)
2種類ありますが、どちらが良いかは子猫の状態や利便性を考えて選びましょう。
粉末タイプ
一般的に多く出回っているのが粉末タイプだと思います。ペットショップ以外にもホームセンターのペットコーナーで売られているところもあります。
粉末タイプだと作る手間がかかりますが、保存が利きます。また、液状と比べて費用も安めです。
- (例)粉末ミルク(250g入り)→およそ2000円(参考:アマゾン)
普通のに比べてちょっと価格が高いですが、ワンランク上の粉ミルクも人気があります。専門店で販売されているプロ品質ですね。
液状タイプ
液状タイプは、ペットショップでないと手に入らないことが多いようです。作る手間が省けますのでかなり便利ではあります(温めるだけで良いのでおすすめ)。
しかし長期保存ができないので、開封後の消費期限に注意しましょう。すぐに使わない場合は余った分を捨てることも考慮して下さい。
また、粉末に比べて少し割高です。
- (例)液体ミルク(1パック200ml入り)×24個→およそ4500円(参考:アマゾン)
お世話をする飼い主さんのライフスタイルに合ったものを選ぶことをお勧めします。
※成猫(全猫種用)もある
成猫は基本的にはキャットフードを与えますが、まだミルク離れできていなかったり、キャットフードが食べれない(食べにくい)時などにはミルクを与えます。
哺乳器(哺乳瓶)
哺乳器は数本あると便利です。飲み口のスペアもいくつか用意しておきましょう。
注入器(スポイト)
子猫が哺乳器で上手く吸えない時には注入器を使用します。
ガーゼのハンカチ・ペット用ウェットティッシュ
ガーゼのハンカチは、飲んだ後に口を拭いてあげるためのものです。きちんと拭いてあげないと、ただれの原因となります。
ハンカチは洗濯が大変なのでペット用ウェットティッシュがおすすめですが、ウェットティッシュも人間用のものを使わないように注意して下さい。
これはたくさん必要になりますし、ミルクを与える時以外でも他の用途で使えるので、まとめ買いしておくと便利です。
子猫へミルクの与え方
必要なものが準備できたら、実際にミルクを与えます。まずは子猫の首を支えてあげることから始めます。
- 首を後ろから支えて、ななめ上を向かせるようにする(食道にしっかり流れるようにするため)
- 哺乳瓶の口を子猫の口先に持っていき、口をつんつんと当てて刺激する(強制して飲ませるより、自分から飲むようにします)
- 飲み終わったら口をふく(口の周りについた状態だと、ただれなどの原因になります)
ミルクを飲んでいる最中に哺乳瓶から顔をそむけることがあります。また、舌で哺乳瓶の口を押し出そうとします。
こういった仕草をしたら「もうお腹いっぱい」の合図です。無理に飲ませないでやめても大丈夫です。
飲む量が少ないのではないかと思い無理矢理飲ませようとすると、気管に詰まってしまうことがあります。むせたりしますがもっと悪いと肺炎を起こしてしまう可能性があります。余っても、決して無理強いはしないようにしましょう。
体重から判断!与える量の目安
赤ちゃん猫の場合は体重で与える量が変わります。
- 体重150g:1回に7cc程度、1日に6回程度
- 体重350g:1回に20cc程度、1日に4回程度
子猫が小さければ、1回に飲む量が少しで回数が多いです。製品には分量と与える回数や注意点などが詳しく載っていますので、そちらを参考にするのが的確です。
与える際の注意点
生後4~8週目ごろの子猫は、母猫から母乳をもらって育ちます。ですが母猫の中には、まれに育児放棄をしたり、安全な場所へ移す際に見逃したりなんてことがあります。
そういった赤ちゃんを保護したら、「ミルクを与えなくては!」と考えると思います。ここで、ミルクを与える時に注意しなくてはいけない点がいくつかあります。
猫のミルク=牛乳はNG!
先にもお伝えしましたが、大切なことなので繰り返します。「ミルクといえば、牛乳だ」と思う人がいますが、牛乳はNGです。牛乳には猫が消化しにくい成分が含まれていることがあるため、お腹を壊す可能性があります。必ず猫用を与えてください。
ただ、保護した時にすぐにミルクを与えなくてはいけないなどの緊急の場合は、緊急対応用としてミルクの作り方を紹介します。これはあくまでも緊急対応用なので、なるべく早く子猫用のミルクに切り替えてください。
緊急対応用としてのミルクの作り方
- 牛乳(100ml)を鍋で弱火にかける
- そこに卵黄(1個の4分の1程度)と練乳小さじ1程度を入れてよく混ぜ合わせる
- 人肌の温度になるまで冷ましてから与える
ミルクの温度
温度は本当に注意が必要です。熱すぎればやけどをさせてしまいますし、冷たすぎるとお腹を壊します。
適温は母乳と同じ38~40度です。温める際は電子レンジでチンすれば簡単ですが、熱くなりすぎてしまいますので、小鍋で温めるか、冷ましてから与えましょう。
作り置きはNG
ミルクの作り置きはやめましょう。雑菌が繁殖して腐敗したり酸化して不衛生だからです。週齢が低いと少ない量を何度も与えないといけないと思うため、作り置きをしてしまいがちですが、毎回作って新鮮なものをあげてください。
ミルクは粉状のものと液状のものが売られています。液状のものだと温めるだけでいいので、週齢が低い場合はそちらの方が楽かもしれません。
私も子猫を保護したことがあります。片手に乗るくらいの小さな子でした。獣医に相談し、ミルクを与えて育てることにしましたが、週齢が低かったため、毎回ミルクを作ることを大変に感じ、ある程度の作り置きをしてしまいました。
次の日にはお腹を壊してしまい、動物病院に駆け込む羽目に…。かわいそうなことをしたと思っています獣医にも怒られました。
ミルクを飲んだら排泄物をチェック!
ミルクを飲んだ後、子猫がトイレで用を足したら排泄物のチェックをしましょう。お腹を壊していないかどうかなど、体調面の状態を見ることはとても大切です。
もしお腹を壊しているようなら、週齢の低い子の場合は命に関わることもありますので、すぐに動物病院に連れて行きましょう。
ミルクを飲まない原因は?
ミルクを飲んでくれないと焦ってしまいますよね。熱さを確認したり、体調が悪いのではないかと心配したりすることでしょう。
そんな時は、焦る前に原因を探ってみてください。
- お腹が空いていない(少し時間をおいてから再チャレンジしてみてください)
- 腸内に排泄物が溜まっている(排泄後に飲んでくれることが多いです)
- 自力で飲めない
一番心配なのは、「自力で飲めない」場合です。スポイトを使っても飲むことができない場合は、衰弱していることが考えられます。たぶんぐったりしているのではないでしょうか。すぐに動物病院へ受診しましょう。
スポイトで飲むことができる場合は、少しずつ与えてください。ポイントは、「ゆっくり、少しずつ」です!
子猫のミルクまとめ
週齢の低い子猫を保護したらミルクを与えることを考えるのは当然ですが、必ず子猫用の物をあげるようにしなくてはなりません。ここでは緊急対応のミルクの作り方を記載させていただきましたが、あくまでも代用と考えてください。なるべく早く専用のものを用意しましょう。
人間が飲む牛乳は子猫にとっては良いものではありません。命を守るためにもこの点は注意していただきたいと思います。
保護した時にすでに元気がないと思われたら、迷わず動物病院に連れて行ってあげてください。保護したことを伝えれば獣医がしっかり診てくれます。面倒を見てあげるかどうかはそれから考えても遅くはありません。
記事後半は、子猫の離乳食についてまとめました。月齢に合わせて与えるものや手作り離乳食についても参考にしてみて下さい。