よく、「猫にまたたび!」なんて言いますよね。そのようなことからも、一般的には猫の好きなものと勘違いをされやすいものです。後ほど説明しますが、猫にとってまたたびは麻薬のようなものです。だからこそ、またたびのことを詳しく理解してから与える必要があります。
実際のところ、またたびを与えるとどうなっちゃうのでしょうか?今回は、猫にまたたびを与えるとどうなるのかや、注意すべき危険性などについても併せてご紹介したいと思います。
またたびって何?
ペットショップやホームセンターなどに行くと、またたびの粉状になったものや液体になっているものなどが売られています。
加工される前は、落葉つる性の木です。別名「夏梅」とも呼ばれています。6~7月になると白いきれいな花をつけ、その後実をつけます。またたびの実は色が緑で形はドングリのようですが、いびつな形をしています。
そして、市販されているものには、いくつか種類があります。
- 粉末:実を乾燥させてから粉状に挽いてあります。
- 木(枝):枝を噛みやすい長さにカットしてあるものです。
- 実:実を乾燥させた物が売られています。
- 液体:またたびからエキスを抽出してあるものです。(スプレータイプなど)
- 葉:乾燥させた葉です。(おやつ用)
与える形状によって効き目の強弱が変わるようです。
- 粉末→液体→実→枝→葉
上記のように、粉末が一番弱く、葉が一番強くなります。一番弱い粉末でも与える場合は0.5g以下にしましょう。用途によってさまざまな形態がありますが、いずれの形状においても『少量だけの使用』という点は必ず守りましょう。
参考:pepy
猫にまたたびを与えるとどうなる?
猫にまたたびを与えると、8割がハイな状態になります。ゴロゴロ言いながら寝転がったり、目を細めてよだれを流して眠たり、大暴れしケンカを仕掛け出すような子もいるので、一概に「こうなります」とは言えません。
また、子猫や妊娠中の猫は反応が薄いと言われています。私も実際に粉末状のタイプを与えてみたことがあります。ハイになったのはオスの成猫一匹だけでした。他にもオスの成猫はいましたが、ハイな状態になりませんでした。子猫は喜ぶどころか嫌がっていました。
また、去勢・避妊手術をした子には、さほど反応はみられませんでした。またたびは食べさせるのではなく、ニオイを嗅がせるだけで反応が出るものです。かかりつけの獣医さんによると、枝や実や葉の場合も同じようにニオイを嗅がせるだけでいいとのことでした。「あまりオススメできない」とも言っていたのを覚えています。
なお、酔ったようなハイのような感じになる時間帯は猫によって大きく変わってきます。1分持たない子もいれば、数分間続く子もいます。その後は、何もなかったかのように普通の状態に戻ります。
反応が一時的なものであることがお分かりいただけたかと思います。またたびの良いところは、依存性がないところです。効いている間の状態はかわいい声で鳴きますし、甘えたような仕草をしますのでかわいくて面白いかもしれません。しかし、1日に何度も使うようなことはやめましょう。与えすぎは体を壊す原因になります。
ちなみに、これもまたたび並みにハイになります。笑
「猫にまたたび」のはたらき
またたびにはさまざまなはたらきがあります。上手に使うことができれば、危険性よりもそのはたらきを活用できる面の方が多いと言われています。また、先ほど書いた通り、依存性がありませんので、その点は大丈夫ではないでしょうか。
ストレス軽減・解消
去勢・避妊手術をしていない子は、発情期がくると外に出たがります。その場合は、気持ちのやり場がないためにストレスを抱え込む状態になります。飼い主にも鳴いて、「外に出たいよ~!」と訴えることでしょう。
またたびには、猫の性フェロモンと似たはたらきがありますので、性的に興奮させて気持ち良くさせることができます。市販のものだと、少量で10~20分程度の時間、それを期待できるようです。
それ以外にも、おもちゃに飽きたり老猫になったりなどの場合は、またたびを少量だけ活用してみましょう。機嫌良く遊んでくれて運動量が増えるようです。運動不足やストレスの解消だけでなく、コミュニケーションも取れますので一石二鳥となるでしょう。
リラックス
またたびというと「興奮する・ハイになる」という認識が強いかもしれません。実は著者もそうでした。しかし、ほんの少しの量だけを使うと、ハイな状態ではなく、リラックスに使える側面があるようです。
友人はまたたびの使い方が上手で、「ごく少量」を利用することがあるそうです。飼っている子がゴロゴロと喉をならして寝転んでリラックスした状態になっているのを見たことがあります。ハイになっているのとは明らかに違いました。ゆるりとしていましたよ。
しつけ
またたびを利用して爪とぎなどのしつけに活用できます。ホームセンターなどで、段ボール素材の爪とぎなどに、またたびの粉末が付いているのを見かけたことはありませんか。しつけ用と文字が書かれて付属品になっていますよ!
爪とぎをする場所だということを認識させるためのようです。しつけができていないと、家具や壁、カーペットなどそこら中で爪を研ごうとします。ですが、爪とぎにまたたびを少量かけておくことで、このニオイのするところが爪とぎ場所だと条件付けます。初めの段階で行えばそこでしかしなくなります。
私は粉末を使ったことがありますが、ちょっと弱いかもしれません。そのおかげで、ソファーの裏側で爪を研がれてしまいました…。もしかしたら、スプレータイプの物の方が覚えが早い可能性があります。個体差がありますので、試してみてください。
食欲増進
夏バテや老化などが原因で食欲が落ちてしまうことがあります。いわゆる食欲不振です。また、キャットフードを切り換えた時なども「食べてくれない」なんてことが起こりますよね。
そんな時に、またたびの粉末タイプを餌の量に応じて、ほんの少量~少量程度を混ぜて与えます。そうすると食べてくれます。著者も試したことがありますが、ガツガツとはいきませんが、普通に食べてくれました。
ただし、食欲不振には病気が隠れていることがあります。続くような場合や、その他の症状が出ているような場合は、受診することをおすすめします。
水分補給
猫はあまり水を飲まない動物です。そのため尿路結石などの病気になってしまうことがあります。ですから、普段から少しでも水分補給をさせるようにすることが大切です。
その対策として、粉末のまたたびをほんの少し水にかけるという方法があります。著者はこの方法は試したことがありませんが、試した友人は本当に少量かけるだけで飲んでくれると言っていました。
ですが、病気療養中の子の場合は、かかりつけ獣医さんに相談しましょう。またたびは刺激を与えるものですから、そのことを重要視していただきたいと思います!
老化対策
物をかじる行為が脳の老化対策になると言われています。老猫用のおもちゃには、またたびを練り込んであるタイプが販売されています。それ以外には、またたびの木(枝)を与えるようです。実際に売っていますので、使い方をペットショップの店員さんに聞いてみましょう。
またたびの危険性は?
またたびを与える量を誤ると、命の危険に陥る場合もありますので注意が必要です。
呼吸困難
またたびは中枢神経を麻痺させることで性的興奮を起こさせます。この中枢神経には呼吸をつかさどる延髄があります。
中枢神経を麻痺させるということは、呼吸に乱れを生じさせるということです。だから、たくさん吸いすぎれば、呼吸困難になる可能性があるということを知っておいて欲しいです。
アレルギー症状
「猫にまたたび」と言われますが、猫によってはアレルギー症状を出す子もいます。またたびがアレルゲンになっているということですから、ショック症状を起こす可能性が非常に高いです。
アレルゲンかどうかは、定期検診の時などに検査をしてもらうといいでしょう。
凶暴化
脳が麻痺してしまうということで、凶暴化することがあります。いつもと違い、部屋中を走り回り、暴れまくる子もいるようですから、噛まれたりしないように注意が必要です。
また、住んでいる部屋が高所の場合は、落下などに気をつけてください。
体への負担
興奮作用があるまたたびを多く吸い込んでしまうと、老猫や心臓が弱い子などは、体に大きな負担となります。興奮するということは、心臓がかなりバクバクします。負担になることはおわかりになりますね。
またたびを与えるときに気を付けたいこと
大切なのは、量を調整して与える必要があるということです。そして、長時間使わせないように飼い主がしっかり管理をすることが大事なポイントになります。
1回に使う適切な量は0.5g未満とされていますが、個体差があります。初めて使う場合は、0.5gよりももっと少量から始めましょう。
また、爪とぎ器などの備品に粉末状のまたたびが付いてくることがあります。これは爪とぎ器に慣れさせるためのものです。でも、使いすぎてしまうと長時間酔っ払ったような状態になることもあるようです。友人の飼い猫がそうなったという話を聞きました。
またたびのニオイがしたら、自分で探し出す子もいるようです。そうなれば必要以上に吸い込んでしまうことだって考えられますので、保管も気をつけなくてはいけません。
またたびに似たはたらきがある植物
またたびと同じようなはたらきがある植物があることを知っていますか?よく耳にするのは、『キウイフルーツ』だと思います。キウイフルーツには、またたびに含まれている「マタタビラクトン」という成分があるからです。
しかし、スーパーなどで販売されているキウイフルーツは、品質改良がされているため、そのはたらきは薄いようです。とは言っても、うちの子はキウイフルーツの皮のニオイを嗅ぎにくることがよくありました。
それ以外には、次のような植物が似たようなはたらきがあるようです。
サルナシ
マタタビ科に属する落葉性つる植物です。見た感じはキウイフルーツそのものですが、小ぶりです。市販されているキウイフルーツの品質改良前の植物になります。日本全国に自生していますので、見たことがある人もいるかもしれませんね。キウイフルーツよりも香りが強いのが特徴です。
キャットニップ(イヌハッカ)
シソ科イヌハッカ属のキャットニップは、イヌハッカとも呼ばれるハーブです。この植物もまた、またたびと似た成分を持っています。
ハーブですので、育てている飼い主さんがいるかもしれません。食したりお茶にしたりして楽しんでいる方もいるかもしれませんね。人には何ともありませんが、猫がニオイを嗅ぐと、またたびのようにハイの状態になってしまうようです。
キャットミント
キャットミントも、シソ科イヌハッカ属に属すハーブです。またたびに似たはたらきがあり、猫がニオイを嗅げば酔ったような感じになります。猫の好きなニオイであることは間違いありません。栽培している方は触らないところに置くようにしましょう。
まとめ
猫にとって、またたびは麻薬のようなものという位置づけではないかと私は考えています。与える量を間違えたりすれば、健康を害しますし、命の危険にさらす可能性も高くなるものだからです。
しつけで使うという人もいますが、そんなことをしなくても愛情を持って教えればちゃんとしつけができます。
私も飼い始めの頃は、またたびに関しての知識がほとんどなかったので、使ったりもしていましたが、今はあまり必要のないものと思っています。
初めて飼う人にとっては、必要なんじゃないかと感じるかもしれませんが、与える場合はきちんと管理をすることと、定期検診などでアレルゲンでないかどうかを確認することをしてから使うようにしていただきたいと思います。
繰り返しますが、またたびは危険性がありますので、もっと詳しく使い方などを知っておきたいという人は、一度獣医さんに相談してみましょう。