最近はアパートやマンションでもペット可の物件が増えてきているため、猫を飼おうとする人が増えているようです。また、一軒家を構えたので猫を家族として迎え入れたいという人もいるでしょう。
そんな時に気になってくるのが、「周りの住人に迷惑をかけてしまうことはないか」ということではないでしょうか。そこで気になるポイントとして挙げられるのが、鳴き声やおとなしさです。ですので、たくさんの猫種があるなかで、飼い猫として選ぶポイントとして、「おとなしい猫・あまり鳴かない猫」というところをあげる人もいますよね。
アパートやマンションなどの賃貸物件であれば、集合住宅となりますし、一軒家でも隣との距離が近ければ鳴き声は迷惑になるかもしれないという思いに駆られるはずです。
いくらペット可の物件でもご近所に迷惑をかけないように心がけるのはとても素晴らしいことです。飼う前に猫を選ぶ条件として、性格や声の状態を気にするのはとても大切なことだと思います。
そこで、比較的手に入りやすくて、あまり鳴かない・おとなしい性格を持つ猫を紹介したいと思います。そして、鳴かない猫が鳴いてしまう理由などの『鳴く』ことに関しての情報も一緒に書きたいと思います。
おとなしい性格の猫の特徴
おとなしい性格の猫にはいくつか共通する特徴があります。賃貸物件などで猫を飼いたいと思っている新飼い主さんにとっては、ご近所迷惑になるようなことは避けたいでしょう。大きな特徴を3つ挙げましたので、猫を探す際の目安にしていただけたら幸いです。
大型猫・体の大きい猫
大型猫は一般的におとなしい性格の子が多いです。温厚で穏やかな性格的特徴がみられます。のんびり屋さんでマイペースなところがあるので、留守番もしっかりできます。
ただ、成長期が長いため、活発な子猫の時期が他の猫から比べたら長いので、成猫になるまで多少元気に遊び回ります。
大型猫の特徴で大切なポイントは、鳴き声が小さいところとあまり鳴かないというところです。ご飯のおねだりで鳴いたとしても、声が小さいので隣近所から苦情を言われるようなことがほとんどありません。
太っているのではなく、筋肉質で体の大きい子もおとなしい傾向にあるかと思います。以前飼っていたMIX(当時12歳・オス)は保護猫です。成猫で体の大きい猫でした。健康診断で診てもらったとき、筋肉質で肥満ではないと診断を受けました。
その子もかなり大人しい性格でした。他にも子猫が何匹かいたのですが、子猫が騒いでも神経質になったり、一緒に騒いだりということがありませんでしたよ。
毛の長さ・色合い
毛の長さから言えば、短毛種よりも長毛種の方が穏やかで温厚な性格が強く出ているように思います。短毛種は狩りをしていた頃の習性が強く残っているようで、性格的には活発で元気な子が多いです。経験上、猫種に関係ないように思います。
長毛種と短毛種の両方を同時期に飼っていたことがあるのですが、同じおもちゃで遊ぶにしてもキャットタワーで遊ぶにしても短毛種は活発に遊んでいましたが、長毛種は手を出すことはあっても走り回るくらい遊ぶことはありませんでした。
クリスマスツリーを飾ったときも、オーナメントに触ってじゃれてツリーに登るのは短毛種で、オーナメントに触って遊ぶだけなのは長毛種でした。
また、色合いからみると単色で黒の子はおとなしい傾向にあるかと思います。前出したMIXも色は黒でした。その子以外にも黒猫を飼ったことがありますが、どちらかといえばおとなしかったです。
性別
オスは、活発で甘えん坊なところがあります。それに比べてメスは穏やかでマイペース、静かに生活する子が多いようです。また、メスの多くはクールでしっかりした性格なので性別で選ぶならメスの方がおとなしいと言えます。
避妊手術を行うと、性格がさらに穏やかな感じになります。発情するとストレスを抱えてしまうため、それがなくなるからではないかと思います。

おとなしい性格の猫の種類
代表的な「おとなしい」猫を紹介したいと思います。これらのタイプは、比較的入手しやすいです。
シャルトリュー
シャルトリューは、性格的に穏やかで物静かな猫です。そのため、あまり鳴きません。鳴き声は優しく、きれいな音の鈴を鳴らすような感じです。「微笑みの猫」という別名を持った賢くて愛情豊かな性格をしています。
厳しい環境で生活していた原種からの遺伝なのか、環境への適応力が高い猫です。性格面から見て、とても忍耐強い子が多いです。温厚ですし優しくて穏やかな性格をしています。また、とても人なつっこく活発で遊ぶことが大好きなので、初めて飼うにはおすすめです。
そして、シャルトリューは、飼い猫にするために品種改良した猫なので、あまり鳴かないこと、鳴いたとしても声が小さいという特徴が強く出ています。
ペルシャ
ペルシャは、のんびりでマイペース、大らかで温厚な性格をしているので、行動も落ち着きがあります。走って遊び回るというよりもゆったりと過ごすことが好きな猫です。人見知りをしますが、飼い主さんには甘えてきてくれます。
鳴くようなことがあっても「サイレントニャー」に近いくらいの小さい声です。それに足音をさせないですし、成猫になると気配を消すのがうまいと感じます。それくらい静かな子が多いです。あまり鳴きませんし、たまに鳴いても声が小さいです。
バーミーズ
バーミーズは、好奇心旺盛で陽気な猫で、人なつっこく適応力が高いです。遊び好きな猫ではありますが、鳴き方が穏やかで、声が非常に小さい猫です。集合住宅で飼うことができる猫としても知られています。
どんな環境にも適応することができるため、順応性が高い猫と言われています。人間好きな猫で温厚な子が多いです。メスよりオスの方がおっとりしています。
また、留守番も1匹で難なくできる猫種です。1匹でも遊べるようにキャットタワーなど用意してあげるといいと思います。
アメリカでは「慈悲深い猫」と呼ばれることもあります。穏やかな性格と小さい鳴き声をしているからだそうです。
ロシアンブルー
「ボイスレスキャット」と言われるほど、めったに鳴きません。従順で飼い主によくなつきます。人見知りなところもありますので、ボディランゲージをよく見ておきましょう。
もともとおとなしい性格な子が多い猫種です。神経質さと人見知りがありますので、来客があると隠れてしまうことの方が多いようです。ほとんど鳴きませんし、鳴いたとしても声が静かなので、賃貸物件に住んでいる飼い主さんでも気軽に飼うことができます。

ヒマラヤン
ペルシャとシャム(サイアミーズ)の交配によって誕生した猫です。その性格を継いでいるせいか、温和でおとなしい猫です。飼い主に従順で甘えたがりな猫です。それにめったに鳴かないという性質があります。
また、のんびり屋さんでマイペースな性格の猫種です。物静かな性格なので、飛び跳ね回ったり走り回ったりして大きな音を立てることがないです。賢いので、しつけがしやすく留守番もしっかりできます。
初めて猫を飼うという人にはおすすめできる猫かなと思います。

エキゾチックショートヘア
ブサカワの代表とも言える猫です。穏やかで物静かな猫です。それとは相反するように好奇心が旺盛で賢く、イタズラ好き遊び好きな一面もあります。しかし、鳴き声は小さく、普段はおとなしい猫です。
ペルシャの血筋を引き継いでいるせいか、穏やかで落ち着きのある性格です。好奇心旺盛な一面があるのに、意外と運動量が少ないので、音を気にすることがあまりありません。1日の大半を寝て過ごすタイプの猫といえます。

アビシニアン
アビシニアンは、美しい被毛と瞳が特徴的な猫ですね。性格は、オスとメスで多少の異なりがありますが、基本的に人なつっこくて愛情表現が上手です。暴れん坊なところもありますが、鳴き声は、鈴の音に例えられることが多く、かわいらしく鳴きます。集合住宅でも心配なく飼える猫です。
飼い主さんにしっかりと愛情を示すことができる猫ですから飼い主さんにくっついて歩き回ることもあります。でも、鳴き回ったりすることはあまりないと思います。
アビシニアンは、活発で好奇心が旺盛ですので、家の中を走り回るようなこともあります。そのため、キャットタワーの周辺に消音効果のあるマットなどを敷くとなおいいでしょう。

ラグドール
ラグドールは大型猫ですが、性格はおとなしくて物静かな猫です。ラグドールという名前自体も「ぬいぐるみ」という意味ですから、おとなしさが表立っていることがお分かりになると思います。鳴き声も小さいですし、あまり鳴きません。
大型猫特有の温和な性格であるので、留守番は問題なくできる猫です。激しく動き回るようなことも少ないので、賃貸物件や集合住宅などに住んでいても飼いやすいと思います。

おとなしい猫を飼うときに注意したい点
おとなしい猫は、あまり自己主張をしない子が多いです。たとえば、具合が悪かったり何か変化があったりしてもなかなか表情や仕草に出ないことがあります。飼い主さんが注意して見ておく必要があります。
留守番しやすい空間
仕事や外出などで猫に留守番をさせることがあるかと思います。その際にケージに閉じ込めておくようなことはよくありません。
食について
- 新鮮な水を飲めるようにしておく
- キャットフードが食べられるようにしておく
住について
- トイレをきれいにしておく
- 遊べるようにおもちゃやキャットタワーなどの用意
大半は寝て過ごしますが、生活しやすい空間は必要です。
体調管理
おとなしい性格の猫は、具合の悪いところがあるとそっと姿を隠すことがあります。体調が復活するまで隠れて出てこないこともありますので、食欲がなかったり排泄物の状態が良くなかったりする場合は、早めに受診するようにしましょう。
ブラッシングをする際に皮膚の状態をチェックするといったことも大切です。
血統猫を飼う場合は、遺伝的な病気を発症してしまうこともあります。注意して見てあげましょう。普段と違うなと思われることがありましたら、獣医さんに相談・受診をしてください。
構い過ぎに注意
おとなしい性格な子は、構い過ぎたり触られすぎたりすることにストレスを感じてしまうことがあります。「甘えたい」と猫の方から近づいてきたとしても、過剰に構い過ぎるのはよくありません。嫌がったら離してあげてください。ストレスから抜毛になってしまうことがあります。
特に、新しく向かい入れた猫は、大きい音や慣れない環境にストレスを感じます。テーブルの下や家具の下などに入って様子を見ていることもあります。引っ張り出すようなことはせず、猫が自分から出てくるのを待ってあげましょう。
お子さんがいる家庭では、お子さんが我慢できずに構いたがると思います。著者宅でもそうでしたからよくわかります。でも、ここだけは猫の気持ちを優先してあげましょう。その方が慣れるまでの時間が短くなったり信頼関係の築き方が早かったりします。
おとなしい猫が騒がしくなってしまう理由とは?
おとなしい猫は、温厚で穏やかな性格の持ち主です。しかし、おとなしいとされている猫でも頻繁に鳴いてしまうことがあります。
猫が鳴く理由は、次の通りです。
- 飼い主に何らかの要求を必死に伝えている
- 愛情不足を感じて甘えている
- 何らかの恐怖心や警戒心が強い場合
- ストレスを抱えている
- 発情期を迎えた
などが考えられます。それぞれについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
飼い主に何らかの要求を必死に伝えている
よく見られる「必死鳴き」は、空腹や水分不足など、何らかの欲求が満たされていない時にやります。この時は、行動も伴いますので何を訴えているのかをみてあげましょう。
愛情不足を感じて甘えている
飼い主が出張等で家を空けていたり、ペットホテル等でお留守番をしていたりなど、寂しさや愛情不足を感じている時に鳴いて訴えることがあります。飼い主の足にまとわりついてきたり、飛び乗ってきたりと行動で示すことが多いです。撫でていっぱい構ってあげましょう。
何らかの恐怖心や警戒心が強い場合
猫は小さな音でも聞こえる耳を持っていますし、飼い主以外の侵入者がいたりなど何らかの恐怖や警戒心を抱く状況になると、すごく鳴きます。うちの猫も工事の人や管理人さんなど普段見慣れない人が家の中にいると、鳴いて教えます。警戒し、飼い主に教えているのでしょう。
ストレスを抱えている
飼い猫がむやみに鳴くような場合、ストレスに感じていることがあるはずです。普段からおとなしくて鳴かない猫が鳴くということは、相当のストレスがあるということでしょう。体に虫がついていないか、どこかケガをしていないかなど、注意深く観察してあげてほしいと思います。
高齢猫の場合は、認知症を患っている可能性もあります。あまりにもひどい場合や、原因がわからない場合は、獣医さんに診てもらうことをおすすめします。
発情期を迎えた
去勢・避妊手術を受けた猫は、発情期になっても鳴いたりすることはあまりありません。しかし、手術を受けていないと、落ち着きがなくなり、ものすごい声で鳴きます。
うちにいた猫(当時11ヶ月・オス・MIX)も手術が間に合わず、発情期を迎えてしまいました。問題行動もひどかったですが、鳴き声も相当なものでした…。去勢・避妊手術は、早い段階で受けさせましょう。
子猫なのにあまり鳴かない場合には問題があることも!
どのような猫でも、子猫の時はある程度は鳴くものです。ご飯の時間や甘えたい時などがそうです。そして、大きくなるにつれて、あまり鳴かなくなっていきます。それなのに、子猫のうちからあまり鳴かないのは、何か問題があるかもしれません。
考えられる状況としては、
- 声を出すのが下手
- 自分の意志で鳴かない
- 鳴き方がわからない
- かすれ声しか出せない
- ちゃんと声が出ない
などです。このような場合は、検診を受ける際に獣医に相談してみることをおすすめします。
性格的に依存することが苦手な猫は、鳴かない傾向が高いと言われています。ですが、甘えたり何かを伝えたりする必要が子猫は鳴くはずですので、あまりにも変だと感じる場合は動物病院に受診しましょう。
まとめ
「あまり鳴かない猫を希望」とか、「おとなしい性格の猫がいい」という声をさまざまなところで耳にします。その多くは、猫が好きだから飼いたいけど、ご近所迷惑にならないようにという気遣いがあるからです。賃貸物件に住んでいる猫友もそこを第一条件にしていると話していました。
「猫を飼いたいが…」という場合、MIX猫よりも血統猫がおすすめです。MIX猫の中でも鳴き声が小さく、あまり鳴かない猫がいますが、数は少ないです。血統猫の場合は、特徴として生まれもっていますので、「おとなしい猫」や「あまり鳴かない」という条件に合う猫を見つけやすいからです。