「猫を飼いたい!」と思ったら、手に入れる先は一般的にはペットショップを思い浮かべるのではないでしょうか。でもその他に、保健所や動物保護団体などの譲渡会で保護猫を里親として譲り受けるなどのアプローチもあるんです。
譲渡会は、恵まれない状況にいる猫の命を救う手段でもありますので、是非積極的に検討してもらいたい方法です。
そこで今回は猫を迎え入れるための様々な方法、そして保護猫の里親になるための一般的な条件を紹介します。併せて猫を選ぶ際の注意点や、万が一飼い続けられなくなった時のことも簡単に説明してあります。
可愛い猫を家族に迎え入れて、お互いに癒し合える生活のための参考にしていただければ幸いです。
ペットショップで購入する
ペットショップは誰もが思いつく場所ですよね。ふらっと立ち寄って見ていたら、目が合って欲しくなっちゃったということはよくある話です。
「買うぐらいなら、保護猫を引き取るべき」など、ペットショップで買うこと自体に賛否あるようですが、ひとつの命を預かって責任もって終生大切にすることに変わりありませんので、個人的にはどういう形であってもいいと思います。
ちなみに、初めて飼ったのはペットショップで購入した子という人が一番多いようです。ペットショップでは飼う前の知りたい情報がちゃんと記載されていますので、詳しく知ってから飼いたいという人にはおすすめの場所です。例えばこんな情報。
- 性別
- 生年月日
- 出身地
- 種類(血統)
- 去勢・避妊・ワクチン・病気など
大抵のショップでは、このような情報がしっかりと分かるようになっているはずです。価格は数万円~数十万円と幅広く、お店によりますがクレジットカードによるリボや分割払いも可能となっています。
ブリーダーから購入する
飼い方を知り尽くしているブリーダーさんから生まれた子猫をもらうのもひとつの方法です。猫は一度にたくさんの子供を産みます。だからこそ里親に出すことも少なくありません。どうしても特定の種類が欲しいと思っている方は、ブリーダーさんから譲ってもらうのが手っ取り早いようです。
ブリーダーさんも商売として行っていますので、その中でも特定の種類となると、若干高めな値段がつくこともあります。
血統書をつける場合も実費がかかります。この場合、ほとんどが子猫からのスタートとなりますので、健康状態をチェックしてから譲ってもらいましょう。
また、ブリーダーとはちょっと違いますが、知人からもらうという方法もあります。気軽に知人宅に訪れる関係だったら、猫とも気心が知れた状態で迎え入れることができますね。
大事に育てられることを丁寧に説明し、安心して引き渡してもらいましょう。譲り受けた後でも何かとアドバイスを貰える関係であれば心強いですね。
里親になる
何も購入するだけが方法ではありません。保健所や動物保護施設などの譲渡会で里親として譲り受けるアプローチもあるんです。知人からもらうというのもある意味里親ですよね。
里親募集に応募することも、猫の飼い方のひとつとして人気が上がってきました。最近ではインターネットのサイトやSNS、街角ではスーパーの掲示板、動物病院などでも里親募集の広告を見ることができます。
まずここで、里親とは何かの説明をさせて頂きます。端的に言うと「他の子を親の代わりに預かって育てる人」のことを言います。元の飼い主がさまざまな事情により飼うことができなくなったため、元の飼い主の代わりに責任を持って飼ってあげることのできる人が該当します。
譲り受けたら(購入した場合でも同じですが)、動物に対して責任が生じるということをしっかり自覚しなければなりません。時々、「自分のものになったから、何をしてもいい」と思い込んでしまう人がいます。動物を実験に使ったり、いたずらしたりと虐待に近いことをするような不届きな輩がいるのも現実です。
里親になったからには、責任が伴うのだということを大切にしなければならないということを忘れないで欲しいと思います。
里親になるために必要な条件
里親になる場合、守らなければならないことがいくつかあります。例えば以下の通り。
- 最後の時まで責任をもって飼うこと
- 去勢・不妊手術だけでなく、ワクチンを行うこと
- 引渡しの場所は里親希望者の自宅で行うこと(団体による)
- 免許証などの里親になる人の身分が証明できるものを提示すること
- 譲り受ける時には、誓約書を書くこと
こういった決まりは、猫の命を守ることに繋がります。最近では命を守るために制限を設けている団体もあります。
里親になるときは、ある程度の心づもりが必要だということを忘れないで欲しいです。例えば、病院代・エサ代などがかかります。「こんなにかかると思わなかった」などの理由で外へ放してしまうことなどがないようにしなければなりません。
また、自宅がペット禁止だとか家族の同意が取れていないというのも問題視されます。信頼して任せられるかは、その辺のこともクリアしていることが必要です。もし、あなたがお願いする立場だったらどうかということを考えた上で、里親になるかを返事しましょう。
私も里親希望を出したことがあります。猫が好きなので可愛がってあげたいと思うからです。もちろん「かわいいから飼いたい」というだけではなく、最後まで面倒をみるという気持ちで毎回譲ってもらっています。
最後まで面倒を見る覚悟がないなら、簡単に里親になるとは言わない方がいいでしょう。猫との生活は楽しい事が多いですが、金銭的にもお世話の面でも今までとは変わってきますからね。その辺をよく理解して、「何があっても大丈夫!」と覚悟出来る人だけにして下さい。
次からは、里親として譲り受ける代表例の、保健所等の施設や譲渡会について説明してきます。
保健所や動物愛護施設から譲り受けるには?
お住まいの都道府県内には、保健所や何らかの動物愛護施設があります。こういった施設は、そこから保護猫を引き取れたり譲渡会を行っていたりします。実際に見に行って、抱いて相性を感じることもできますよ。ただし、雑種であることや、年齢がはっきりしない子もいます。
成猫の場合すでに去勢されていることもありますので、その場合は新たに手術費用がかかることはありません。でも、こういった施設は譲渡の条件がいくつかあり、それをクリアしないと飼うことができませんので、事前にホームページなどで確認をしておくことが必要です。
人間もそうですが猫も親を選べません。賛否ありますが、私個人的には恵まれない子を引きとって愛してあげられる人が増えたらいいなと思っています。
譲渡の一般的な条件
各自治体によって細かいところは変わってしまいますが、一般的には以下のことが条件となります。
- その施設の管轄内に居住している
- 成人している(場所によっては年齢の上限設定があるところも)
- 家族からの同意を得ている
- ペットを飼うことができる住宅に住んでいる(証明書を求められる場合もある)
- 動物の一生を面倒見れる金銭的・時間的余裕があり、その責任があると見受けられる
命を引き取るのですからこれくらいの条件があるのは当然のことですよね。これらをクリアしている人が譲り受けることができます。
場所によっては保健所で直接引き取ることができず、後述するような譲渡会でなければ引き渡してもらえないところもあるようです。そして、その譲渡会に参加するためには事前講習に参加しなければいけないという自治体もあります。この事前講習をしっかり受けるということが、ある意味で責任があるかどうかのテストと言えるでしょう。
保健所で捨て猫が殺処分されているという現実
話が少しそれるのですが、今この時にも猫が保健所で殺処分をされているという現実があることを知ってい頂きたいと思います。一時の感情だけで飼い、不要になったからと飼育放棄をする飼い主がいるために、猫の命が危険にさらされています。
もちろん猫だけじゃありません。動物を飼うときは、飼い主としての責任を全うしなくてはいけないということを考えて欲しいと思います。環境省が公開している犬・猫の引き取り及び負傷動物の収容状況のデータを先日見せてもらいました。平成26年度(2014)版によると以下の内訳となっています。
- 行政による引き取り猫数の合計:97922匹
- 飼い主からの引き取り要請:16542匹
- 引き取り要請中の成猫:8838匹
- 引き取り要請中の子猫:7704匹
「行政による引き取り」とは、動物愛護センターや保健所で、殺処分や譲渡を前提に動物を収容することを言うそうです。
殺処分が行われる大きな理由は『飼い主による飼育放棄』です。殺処分される動物のほとんどは飼い主が持ち込んでいるという事実があります。子猫を望まないのに避妊手術を受けさせず、産み落とした子猫を飼えないから保健所などに連れてくるのです。
殺処分を受ける猫たちは、収容期限が過ぎると、閉じ込めた処分機に、二酸化炭素を充満させて酸素を抜いていく方法で処分されます。多くの自治体がこの方法を採用しています。
窒息殺は安楽死と呼べるものでは決してありません。息絶えるまでに15分近くも苦しみます。次々とその命を無理やり絶たれているのです。
保健所では猫を捕獲する義務がない事実
猫は他の動物(例えば犬)とは違い、行政が捕獲しなければならないという法的義務がありません。保健所が野良猫を捕獲しに行くということがないということです。殺処分を受ける猫は、ほとんどが何らかの形で飼い主が持ち込んだということになります。
飼い主が保健所に連れて行く理由をみてみましょう。
- 引越し先がペット禁止だから
- 大きくなってかわいくないから
- 飼ってみたら思った以上に大変だった
- 予定外の出産で、育てられない
- 子猫のもらい手がないから
- しつけが大変で言うことを聞かないから
- 妊娠出産で飼えなくなった
- 猫が病気になったから
- 老猫の介護ができない
- 飼い主が他界
全部ではありませんが、心無い飼い主の一方的な都合ばかり。それで殺処分されるなら、いっそのこと逆になればいいのにって本気で思います。ペットとは言えいったん家族に迎え入れたのですから、最後まで面倒をみるという飼い主の責任があることを忘れないでほしいと思います。
生活がかかっているというのもわかりますが、そんなことは理由にならないし、飼い主に知識や予測することがあれば殺処分という現実を防げる理由もあります。モラルのある人であれば、そんなことは飼う前によく考え、我慢してでも「飼わない」という選択肢を取っていることもしているはずですよね。
逆に言えば、そんなことも考えないで「可愛いから」という安易な都合だけで生き物を飼って、終いには「いらなくなったから」といって捨てる人間がいる。個人的にはそんな自分勝手な都合で生き物を見捨てるような人間とは関わりたくありませんが、そんな人間が社会にごまんもいると思うと、色々考えさせられますね。
殺処分された猫たちは…
殺処分された猫たちは、焼かれて灰になっておしまいです。土に帰ることはできません。むしろ廃棄物というゴミ扱いを受けています。この現実を知らない人が多くいるのではないでしょうか。
殺処分の現状を知った青森県立三本木農業高等学校動物科学科愛玩動物研究室は、『命の花プロジェクト』を平成24年にスタートさせました。生徒達が県内の殺処分の現状をどうにかゼロにしたいと考え始まったそうです。
青森県では年間2000頭以上の犬や猫の殺処分が行われています。処理施設には、殺処分された動物たちの骨を入れた袋が多く積まれ、ゴミと同様に扱われて処分されている現実があります。
何とかして土に帰してあげたいという思いから生徒たちが行ったのは、殺処分された犬や猫の骨を保健所から持ち帰り、細かく砕いて土に混ぜて花を育てる活動です。
これなら殺処分された犬や猫たちの命を花を通して土に帰すことで、「命の尊さ」と「青森県の殺処分の現状」を訴えることができます。
この活動はさまざまなメディアから取り上げられ、殺処分の現状を多くの人に伝えることができています。現在も活動をしています。
殺処分ゼロを目指して
殺処分の現状を知ったら、どうにかゼロにしたいと思う方も多いかと思います。実際に殺処分ゼロをかなえた国や地域もあり、ペット先進国のドイツなんかは有名ですよね。ゼロにするためにどうしたらいいのかを考え、知ることから始めて欲しいと思っています。
私たちができることは何かということを考えてください。
- 飼育放棄しない
- 飼い猫に避妊手術を施す
- 迷子にならないようにする
- 一時の感情で飼わない
- 飼うことに責任を持つ
- 保護施設から引き取る
- 少額でもいいのでボランティアや寄付をする
こういった少しの行動や気持ちの持ちようで、かわいそうな猫を殺処分に送るなんてことがなくなります。
どうしてもの場合は、動物愛護センターに相談をするという形を取る(しつけ問題や急な転勤など)ことで、しつけに関してはやり方を教えてもらえるでしょうし、何かしらの力になってくれることでしょう。
しかし、勘違いをしないでいただきたいのは、お荷物になったと感じているペットを引き取ってくれる受け皿的な場所にしないということです。飼い主が親になる・ペットは家族になるという責任をしっかり持っていかなくてはならないということです。その辺をしっかり考えてから飼ってあげてほしいと思います。殺処分を無くすには、飼い主のひとりひとりが責任を持つことです。
少し話が脱線してしまいましたが、このような現状を知ってほしいと思います。飼うからには責任もって最後まで飼ってほしいもの。そして不幸な動物を一匹でも減らすため、迎え入れる場合には保健所や、次に紹介する譲渡会から積極的に譲り受けてもらいたいです。
記事後半は、譲渡会で譲り受けるメリット・デメリットとその条件、猫を選ぶ際の注意点、動物病院の受診、万が一飼い続けられなくなったらどうする?などについての情報をお届けし、終わりにしたいと思います。